『市田柿』は原料となる柿の皮を剥いて吊るし、乾燥させた干し柿です。一口大で食べやすく、鮮やかなあめ色の果肉をきめ細かな白い粉が覆い、もっちりとした食感と上品な甘味があるのが特徴。自然の甘さをもつドライフルーツであると同時に、高級和菓子にも位置づけられています。
『市田柿』は2016年にGI(地理的表示)に登録され、南信州を代表するこの地域ならではの特産品です。 古くから冬の保存食として用いられ、お正月の「歯固め」として食べられていた『市田柿』。ビタミン、ミネラル、ポリフェノール、食物繊維などの栄養素も豊富で、近年では健康食品としても注目を集めています。
※GI(地理的表示)とは… 生産地と結び付いた特性を有する農林水産物食品の名称を品質基準とともに登録し、 地域の共有財産として保護する制度。
美味しい干し柿を作るには、原料柿の品質がなにより重要です。良い原料柿を作るには、栽培管理が欠かせません。当農園では柿の収穫を終えてから次の収穫に向けて、剪定作業を行います。
剪定作業は、日当たりや栄養が全体に行き届かせたり、実に傷が付かないよう枝と枝との間隔を調整したりと、1年の柿の品質を決めるとても重要な作業です。
管理がゆき届かず、葉や果実に病害虫の被害を受けた木の柿は、糖度が低く美味しい干し柿になりません。
病気や虫の発生を防ぎ果実を健やかに育てるために、樹勢に応じた適切な施肥と剪定や摘果などの管理を徹底して行います。
秋の紅葉が進み山々や庭先の木々が緋色・柿色になる頃、柿も収穫を迎えます。
急がず樹上で全体が濃いオレンジ色になりよく熟した柿を収穫します。11月頃から畑での収穫と皮むき作業を平行して行うため、とても忙しい時期です。
柿の皮をむいてのれんに吊るし、色のよい干し柿に仕上げるため、硫黄くんじょうを行います。
皮を剥いた柿をのれんに吊るし、乾燥させます。
ハウスで1ヶ月程乾燥します。乾燥期間中は湿気が多いとカビが発生しやすく、乾燥しすぎても渋味が抜けにくくなってしまうため、天気をみながら窓を開閉したり、のれんの間隔を調節したりと、適切な温度と湿度を保つよう工夫します。
皮むき時の35%程の重さになるまで乾燥したら、のれんから下ろして、1個1個の乾燥程度を見ながら柿をもみ、寝かせ込みを行います。
柿もみは、柿の中心部の水分を押し出してシワのないやわらかな干し柿をつくり、きめ細かい粉を出させるための大事な作業。
ていねいな柿もみと寝せ込みを繰り返すと、白い粉(ブドウ糖)に覆われた干し柿が出来上がります。
微妙な調整が必要な作業で、当農園の経験が発揮される作業でもあります。
あめ色の果肉と小ぶりで品のある外観、もっちりとした食感と口に広がる上品な甘さの『市田柿』の完成です。
涼しい場所や冷蔵庫の他、冷凍保存も可能です。 化粧箱に入った贈答用も各種ご用意しております。